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2004.12.01

書評 『血に問えば』 イアン・ランキン

血に問えば血に問えば
イアン ランキン Ian Rankin 延原 泰子

早川書房 2004-10
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 ハードカバーじゃないか! しかもこの表紙は何? 急速に気持ちが萎えてしまう…。
 版権高騰か(ポケミスったって分厚いから大して値段は変わらないけど)、それとも一般ミステリ読者に訴求しようという戦略か。後者なら遅すぎたと思うが。
 ぼくは固定読者だからどうなろうが買って読むわけだが、リーバス警部にはポケミスが似合うよなんて、勝手な思い込みでもないと思うんだけどな。

 作品自体は相変わらずの高水準だ。
 毎夜亡霊とグラスを傾ける、孤独を愛するリーバスがこの年にして改めて”血に問えば”、見えてくるのが家族の遠い過去の記憶とつながり。
 リーバスだけでなく犯罪者も被害者もひっくるめて血に問うわけだが、最後に登場する病んだ現代のモンスターと対比してしまうと、どうもこじつけスパイスのようにも思えてくる。

 緊張を強いる文体がちょっと辛かったかな。ホーガンとリーバスの会話についていけなかったり。
 情けないぞと思いながらも、読み返さない自分に更に情けなくなったり。裏表紙で微笑む作者の顔を眺めて「どういう頭の構造してんだろうな」なんてことを考えたり。

 ミステリとしては十分におもしろいし、主人公リーバスも相変わらずで充分に読ませるのだが、すでにこのシリーズの興味は別のところへ行ってしまっているかもしれない。
 女リーバスことシボーンである。
 この作家は、女性を描くのが抜群にうまいのだ。芳しい女心を微妙に描く筆は天下一品かも。シボーンも謎だよな。ファーザーコンプレックスのようにも思えてくるが、しかし…。

 一時の気の迷いか勢いなんだろうが、最後に出てくるリーバスの激情が結構心地よかったりする。というか、ちょっと安心したというか。
 シリーズも数えて14作目だ。
 巻末で訳者の方も書かれているように、リーバスを引退させて、シボーンをヒロインにした物語もいいかもしれない。

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受信: 2004.12.04 17:17

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