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2005.01.14

「雪おろし」とは言わない

 今日午後9時からの「NHKスペシャル」は、ぼくが通った小学校区の地区の特集だった。新潟県中越地震から立ち直ろうとする人々の姿を追う。題して『「むらは守れるか」小千谷・豪雪地帯の冬』。
 生まれ育った町にもかかわらず、今日の放送で初めて知ったのだが、小千谷市には30戸程度の集落が52箇所もあるそうだ。
 標高は100m~200m程度とそれほど高くないが、どれも山間の小さな村だ。

 ぼくの生まれ育った地区も、総戸数70戸程度のそんな小さな村のひとつだ。
 誰が言ったか「今年は暖冬」との甘言にみんなホッと胸をなでおろしていた。しかし、いざ冬がはじまってみれば、数年ぶりどころか数十年ぶりの大雪だそうだ。今、実家地区は約3mの積雪に覆われている。

 普通は屋根に積もった雪を除雪することを「雪おろし」という。
 しかし、あの豪雪地帯ではそうは呼ばない。「雪堀り」というのだ。雪に埋もれた屋根を掘り出す感覚なのである。
 その過酷さは、毎年「雪掘り」で10人程度は事故死していることからも、十分に伺っていただけると思う。

 ぼくの実家では、一昨年父が胃がんの手術を受けてから、屋根に融雪装置を取り付けた。
 石油で温めた湯を、屋根に一面に張り巡らせたパイプに行き渡らせて、降った雪が積もる前に溶かしてしまおうという設備だ。
 それが、ここ数日の雪の前に脆くも敗れ去ってしまった。熱い湯を送り続けても雪は解けるどころか積もり続けるばかりで、とうとう実家の屋根は1m以上の雪に覆われてしまったのだ。
 今年の冬は、どの家にもガタがきているので、いつもよりも頻繁に「雪掘り」をしているそうだ。実家も、父が一度掘り出したらしい。
 それでも、今年は石油1000リットル以上使っている。

 番組で放送された、春を待つ年配の女性の言葉が切実で胸を打った。本当に春が待ち遠しかった。
 ぼくは何もしてあげられないので、頻繁に実家に電話するようにしている。電話するたびに、足を骨折した母の機関銃のような言葉に耳を傾けて、切るタイミングを中々つかめずついつい長電話してしまう。
 春は、まだまだ遠い。

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