書評 『THE CLOSERS』 マイクル・コナリー
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2005年5月に出版された、ハリー・ボッシュ=シリーズ最新作です。
秋に翻訳が出るであろうシリーズ9作目"LOST LIGHT"と、昨年出版された10作目"THE NARROWS"(訳出は来年か?)を未読の方は下記の感想を読まない方が良いと思います。流転するボッシュの人生について、感想を書くにあたって避けることのできないネタバレがあります。ご注意ください。
以下、感想です。
"THE NARROWS"で紹介された、復職プログラムによってボッシュはロス市警に復職する。これはリタイアして3年以内の元刑事を対象に、1年間の試用期間が設けられてはいるものの、警察学校等での再教育を経ることなく復職できる制度。
某翻訳家のお話によると、退職したハリー・ボッシュに対して、現実のロス市警本部長から強力なオファーがあったらしい。実際のロス市警に最近、このプログラムが出来たようです。
ボッシュが配属されたのは、未解決事件を再捜査するセクション。
キズがパートナーとして復帰し、共に17年前に殺害された少女の事件を捜査することになる。因みに、新しい本部長が着任しており、天敵アーヴィングは閑職?に追いやられてしまっている。このアーヴィングが幽鬼のようです。
"THE NARROWS"がかなり派手で動きも多く、その上謎にも多大な犠牲を払っただけのことはある超オモシロ小説だっただけに、そのギャップに少し戸惑ってしまった。
一言で言えば、地味なのだ。
物語も中盤を過ぎるあたりまで、ひたすら調書を読み、関係者を探し出してインタービューを繰り返す。考えるまでもなく、17年前の事件を掘り起こすわけだから、生の現場は無いし、手順通りの役割分担も無いわけだから当然といえる。
でも、ここでボッシュは生き生きとしてみえる。悪を憎み、ひたすら事件を解決したいと願うボッシュがとても良い。
地味な捜査小説が突如動き始めるのは、中盤を過ぎたあたりから。
17年前と現在を結びつけながら、仰天の展開を持ってくる。新たな死体を出現させ、更に行きつ戻りつインタービューを繰り返すボッシュが、17年前の風化した現場を生の現場に変貌させてしまうのだ。
ここからはもう、怒涛の寄り切り。そして最後にお約束の打っちゃり。
未解決事件が関係者に及ぼした17年が痛い。
ロス市警を背負っていると錯覚したアーヴィングが登場して、ややこしくさせるのだが、このアーヴィングにはちょっとばかり同情を禁じえない。
アーヴィングまで含め、ラストは相変わらずほろ苦い。
Kizにこんなことを言わせる。"Whatever you're doing, I'm going with you." 泣かせます。最後のボッシュの決意もとても良い。
上にも書いたけど、個人的には、"THE NARROWS"の方が動きも目まぐるしく、謎も派手派手で楽しめた。でも、本来のボッシュは、やっぱりこちらだと思う。
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