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2007.09.06

書評 『「世界征服」は可能か?』 岡田斗司夫

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

筑摩書房 2007-06
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 例の『いつまでもデブと思うなよ』と抱き合わせて買った本。表題の通り、「世界征服」を考えながら、最終的には善と悪の本質に迫る怪作だった。

 まず、なぜ「世界征服」をしたいのか? という命題を、古今東西のアニメや映画の「世界征服を目論む悪の結社」を題材に探る。これがもう、すごいのです。ともかく詳しい。そして笑える。オタキングのアニメや映画などの広範で深い知識に驚くばかり。そして、類稀な視点に驚くばかりだった。

 まず、支配者の4つをタイプに分類する。そして、支配者のタイプごとに検証する。その4タイプとは

A 魔王タイプ (ex.『レインボーマン』の「死ね死ね団」)
B 独裁者タイプ (ex.『DEATH NOTE』の「夜神月」)
C 王様タイプ (ex.『ドラゴンボール』の「レッドリボン軍総帥」)
D 黒幕タイプ (ex.『007シリーズ』の「スペクター」)

 このあたりはオタキングの洞察の深さに爆笑の連続。すばらしい。

 こうして支配者のタイプをおさらいした後、具体的な「世界征服」の手順を探る。これがまた秀逸。前章から、どこまで本気かわからない雰囲気を引きずったまま、大真面目に「世界征服」のための「人材確保」や「資金の調達と設備投資」「作戦と武装」などについて語る。ともかく、電車の中で読んではいけない。

 こうして最終章「世界征服は可能か?」になだれ込む。岡田が思索の末に導き出した最終的な支配者像は、それほど目新しいものではないと思う。たとえば、「ゴッドファーザー partII」で描かれた、マイケル・コルレオーネの孤独に通じるような。

 しかし、本題はそこにはない。本題は最終章で語られる「悪」の本質である。見事だった。ここまで見事に「悪」の本質を看破した本は読んだことがない。あまりに斬新で、デフォルメが過ぎて、俄かには納得できな部分もあるが、貧弱な頭を巡らせて見れば度合いは別にしても納得せざるを得ない。

 これはまったく新しい社会学の登場かもしれない。ぼくは岡田斗司夫の旧作を読んだことがないが、本書をあとがきまで読んで猛烈に読みたくなった。

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