テレビ

2007.10.20

踊るレジェンド

 念願の『交渉人 真下正義』をテレビ放映で観た。予想以上におもしろかった。交渉ともつかない犯人と真下の心理戦には大いに不満があるけど、じゃああれ以上どうやったらいいんだと聞かれてもうまい答えは見つからない。愉快犯的な犯人像から言えば、単なるナゾナゾごっこであっても納得できる要素はある。

 最終的な犯人の扱いも、あれはあれでアリだと思う。次回作に含みを持たせたとか、いろいろな憶測が飛ぶのもまたわかる。エンターテイメント映画としてはそこそこの出来だと思うのだ。少なくとも、最近DVDを借りて観た『アンフェア the movie』の素人演出よりはずっと良かった。
 
 『踊る大捜査線』のスピンオフ作品は複雑怪奇でわかりにくいのだが、とりあえず大物は全部観たかな。正直な感想は、灰島>真下>木島>室井。踊ると最も遠い灰島が一番って、皮肉な感想でしょうか。今晩放映の室井は、初見で頭を抱えた。今夜確認してみるべきか。

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2007.10.12

医龍2~ドラゴンボール症候群?

 ダメだ、良いわけがない、と陰口をたたきながらも、楽しみにしていたのが『医龍2』。昨日が第一回目の放送だった。今回は稲盛いずみに代わって、三十路の女盛りを迎えつつある内田有紀をヒロインにもってきた。二回目以降に登場する大塚寧々の役どころは何だろう。新任の教授だろうか。

 何であれ、二度目となるとエスカレートしてしまうのは仕方ないとしても、研修明け二年目の伊集院(小池徹平)に日本人医師では二人しか成功していないバチスタ手術をさせたり、いきなり10万人に一人の難病を持った子どもが生まれて、それを朝田(坂口憲二)が手術してしまうという展開には嫌な予感が漂う。

 次から次へと難関難敵が現れる展開は一部では「ドラゴンボール症候群」と呼ばれているらしいけど、このドラマもそんな展開になってしまうのだろうか。本当に嫌な予感がする。宿命なのかな。

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2007.09.27

ドラマ評 『医龍~Team Medical Dragon~』 坂口憲二

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 ぽすれんから、NO.4が届いたのが昨日。夜10時近くになって、一話だけみようかな、と思ったのが運の尽き。結局、NO.6まで全部観るハメに。おかげで、今日はヘロヘロ朦朧で、仕事にならなかった。体力が落ちると、途端にアレルギーがひどくなって、関節が痛み出す始末。最低。

 それでも、ドラマの出来が良かったので救われたかな。善悪の捉え方にちょっとばかり捻りがあって、一筋縄ではいかない医者たちがとても生き生きとしていた。見え見えのあざとい演出も多々あったけど、荒唐無稽に堕することなく、結果的に見れば割と手堅かったと思う。

 ストーリィは万全ですね。ぼくは原作は読んだことがないのだけれど、これだけの権謀術数渦巻く骨太な物語はやっぱり原作あればこそでしょう。一転二転する物語のおもしろさは格別で、ここにまた戯画的ではあるけれど、特異な人物たちが絡んで更におもしろさが増した。

 人物たちでは、なんといっても野口教授を演じた岸辺一徳でしょう。このエキセントリックな小悪党が実に良かった。名優ですね。ばかりでなく、夏木マリや阿部サダヲという脇役陣が光っていて、この名優たちがドラマに何倍もの深みを与えていた。

 問題は主役の坂口憲二。『池袋ウェストゲートパーク』のころからまったく進歩していない。これだけおいしい演じ甲斐のある役をこの程度にしか演じることができない役者は、もはや役者とは言わない。申し訳ないが、学芸会レベル。まず、発声から鍛え直した方が良いでしょう。役者の発声じゃない。

 もうひとり、里原ミキ役の水川あさみも良くなかった。主役ふたりがこれだけ大根であるにも関わらず、それなりの成功を収めることができたのは、一にも二にも原作と脇役陣のおかげでしょう。

 10月からパート2が始まる。現代の医療問題を鋭く抉るオリジナルストーリィだそうで、教授になった加藤晶は登場しないようだ。ザッとサイトを見ただけだけど、期待しない方が良さそう。現代の医療問題を斬るドラマなんて、掃いて捨てるほどある。あんまり大上段に構えない方がいいと思うんだけど。

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2007.08.27

ドラマ評 『ハケンの品格』 篠原涼子

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 噂どおり、楽しく見ることができた。連続テレビドラマをオンエアで観る余裕は無いので、DVDでまとめてみることになる。オンラインDVDレンタルという強い見方があるから、こんなスタイルも可能なわけだ。中年おぢが、この手の連続ドラマを楽しみに見ているという図が、なんともわびしくて気味が悪いのは置いておくとして。

 篠原涼子演じるスーパー派遣社員・大前春子のキャラを思いついた時点で、このドラマの半分以上は出来上がったようなものでしょう。現代社会を映し出した上、ターゲットとなる視聴者に共感を呼びそうな出色のキャラだった。しかし、途中で大前春子のキャラがあいまいになってくるのが、ちょっとばかり残念。

 それなら、『女王の教室』の「阿久津真矢」のように徹し切るべきだったかと言われればどうだろう。キャラに隠された秘密が暴露されるに従ってキャラがあいまいになる。確信犯なのでしょう。暴露されるごとに大前春子の人間的な魅力が増幅されていく。常套手段。アンビバレンツな危うい稜線に立ったヒロインの危うさ。最後の方は痛いとしか見えなかったが。
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 なんといっても、篠原涼子である。制作側の意図に応える熱演だった。Wikipediaによれば、ご本人はかなりの"天然"だそうだが、このドラマのヒロイン大前春子みたいなデフォルメのきつい役を、モロなコメディタッチに陥らず微妙な線で演じていたと思う。

 ぼくにとっては、篠原涼子といえば『アンフェア』だった。『ハケンの品格』の大前春子と『アンフェア』の雪平夏見。一見まったく違うように見えるが、奥深いところでは共通点がある。言葉は悪いが「やせ我慢」をキーワードとすれば、つながってくるのだ。

 普段は連続ドラマのコメディなど見ない。しかし、『アンフェア』の大ファンであるぼくならと、すすめてくれる人がいて『ハケンの品格』を見た。確かにおもしろかった。どこに惹かれるんだろうと思ったらヒロインのキャラだった。「やせ我慢」は、ぼくの愛する「ハードボイルド」につながる。ヒロインの心根の奥底でつながる共通点。こう書くと、なんだから安っぽく見えてくるから困ったものだが。

 派遣社員が自らの「資格」を武器に、社員の窮地を救い出す痛快さ。まるで水戸黄門の印籠のようだった。このドラマにはヒットする要素がふんだんに盛り込まれている。まあ、つまり緻密なマーケティングとターゲティングによって生み出されたドラマなのだった。

 最終回が残念。もっと練り上げれば、進化した大前春子像ができあがっただろうに。露骨に2時間ドラマ程度の続編を作れる下地を残すあざとさ、でありました。大前春子が最後に大泉洋演じる東海林主任に吐くセリフに萌えるか萌えないか。最近の若い男はマグロなMが多いそうなので、萌えるのかな。

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2007.08.21

詐欺的「われわれ」の使い道

 一人称複数形の主語を使って語る人間は、多くの場合、あんまりアタマを使っていない。

 敬愛する浦和系コラムニスト小田嶋隆さんのブログにあった。けだし名言である。即座に連想したのが、ジャーナリスト佐々木俊尚さんのこの記事だ。

 新聞が背負う「われわれ」はいったい誰なのか

 いまや<われわれ>の統一性は社会から失われてしまっていて、どこにも存在しない<われわれ>を主語にして記事を書くこと自体が、不可能になってきている。そのような状況の中では、新聞は<われわれ>に仮託して記事を書くのではなく、(1)自分自身がどのような立場でどう思っているのかという立ち位置によって記事を書くこと、(2)そしてその立場で記事を書けば、当然、意見の異なる他者が出現して自分自身が批判されうること、を前提としなければならなくなってくるように思う。

 小田嶋さんの文脈とは若干意味合いが違うが、「われわれ」の後ろに多数の影が連なっているという安心感は同じと思う。こういったマスコミが使う詐欺的なレトリックは、もちろん新聞だけでない。新聞以上に罪深いのはテレビだ。ドーランを塗りたくって額のテカリひとつない古舘伊知郎が、筑紫哲也が、鳥越俊太郎が、木村太郎が、みんな「われわれ」と称して意見を述べている。

 小田嶋さんの一人称複数形より性質が悪いのは、彼らはその「われわれ」の先頭に立っていると確信していることなのだ。見る人が見れば、勘違いか自己欺瞞としか見えないのに、だ。しかし、そういった「われわれ」を連発する人たちに共感する人が、厳然と存在していることの方が問題かもしれない。

 だから、久米宏みたいに「われわれ」のあとに「庶民」をつけて連発していた人が大衆の信頼を得てしまう。主婦仕事なんてしたことが無い(と思われる)田中真紀子みたいな人が、「主婦代表」などと言うと大ウケしてしまう。バカにした話だが、そういうことなんだろう。久米宏と田中真紀子と徒党を組んだと錯覚させるレトリック。汚いわ。

 それでも、まあ、確かに「われわれ」を主語にすると気持ちが良い。急に視界が開けたような気分になる。ぼくの場合も、小田嶋さん的文脈でほんの一時間半程度スタジアム限定、しかも末席だけど。
 そういうわけで、We are REDS.

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